遺留品とは?家族が引き取りを求められた時の注意点について解説

遺留品とは?家族が引き取りを求められた時の注意点について解説

故人が遺した品々。
その一つ一つには、故人との思い出や、生前の生活の痕跡が詰まっています。
しかし、それらの品々への向き合い方は、状況によって異なり、時に複雑な手続きを伴うこともあります。
突然の別れの後、故人の財産や持ち物について、どのように対応していくべきか、戸惑うこともあるでしょう。
この記事では、警察から連絡があった場合、遺留品という言葉を聞き、どのように考えればよいのか、ご家族が対応を求められる状況について、解説していきます。

遺留品とは

遺品との違い

遺留品とは、本来、持ち主が特定の場所に残した物の総称であり、その範囲は非常に広範にわたります。
例えば、事件現場で発見された関係者の持ち物、事故や災害の際に持ち主とは特定できないまま残された物品、あるいは単に公共の場や一時的な滞在場所に置き忘れられた物なども含まれます。
警察が遺体と共に発見し、身元確認や事件捜査のために一時的に保管する品々も、この「遺留品」として扱われるのが一般的です。
これに対して、遺品とは、亡くなった方が所有していた物の中で、故人に特別なゆかりがあり、生前の思い出や人柄を偲ばせる品々を指します。
具体的には、愛用していた衣類、趣味の道具、書き溜めた日記や手紙、家族への想いが込められた品々などがこれに当たります。
法律や警察の現場では、「遺留品」という言葉が、遺族にとっての「遺品」という概念をも包含する形で、より広い意味合いで用いられることが少なくありません。
これは、警察が遺体とともに発見した所持品を、遺族に引き渡す際の便宜的な呼称である場合が多いからです。

遺留品を扱う場面

「遺留品」という言葉は、単にフィクションの世界だけで使われるものではなく、現実社会、特に警察が関わる場面で頻繁に登場します。
最も典型的なのは、故人が自宅以外の場所、例えば病院、施設、あるいは外出先の公共の場などで亡くなられた場合です。
また、誰にも看取られずに亡くなられる孤独死のケースでも、警察は遺体の確認と身元特定のために現場に臨場します。
これらの状況下で、警察は遺体の検視を行い、事件性がないことを確認した後、故人の親族に連絡を取ります。
その際、故人が身につけていた物や所持していたカバン、財布などの品々を「遺留品」として一時的に保管していることを伝え、遺族に引き取りを求めるのが一般的な流れです。
これは、故人の身元確認の補助や、遺族への連絡のきっかけ作り、そして最終的には遺族による故人の私物の整理を促すための措置と言えます。
さらに、大規模な災害が発生し、身元不明の遺体や持ち物が多数発見された場合も、それらは「遺留品」として扱われ、身元特定や遺族への引き渡しに向けた対応が進められます。
警察が遺留品を保管する期間は、捜査の必要性や遺族の対応状況によって異なりますが、原則として、事件性がなくなり、遺族による引き取りが確認されれば速やかに返還されます。

遺留品を引き取る状況

警察からの連絡

遺留品を引き取るという状況は、多くの場合、予期せぬ警察からの連絡によって始まります。
突然の悲報とともに、故人が自宅以外の場所、例えば事故現場、病院、あるいは見知らぬ場所で亡くなったという事実を知らされることは、遺族にとって大きな衝撃です。
警察は、遺体の身元確認や死因究明のための初動捜査を行います。
その過程で、故人が身につけていた衣服、所持していた財布や携帯電話、カバンといった品々が「遺留品」として警察によって一時的に保管されることになります。
捜査や検視が一段落し、事件性がないと判断された後、警察は故人の最も近い親族(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)に連絡を取り、遺体の引き取りと併せて、これらの遺留品の引き取りについて相談を持ちかけるのが一般的です。
この連絡は、遺族が故人の最期を迎え、その所持品を整理する第一歩となります。
警察が遺留品を引き渡す際には、遺族の身分証明書の提示や、引き取りに関する書類への署名といった手続きが求められることが一般的です。

家族が対応を求められる

警察から遺留品引き取りの連絡を受けた家族は、故人の遺体と共に、警察が一時的に保管している品々を引き取るよう、事実上、求められる場面に直面します。
これは、故人が遺した財産や所持品を整理し、その後の相続手続きを円滑に進めるための、いわば最初のステップとなり得るからです。
例えば、遺言書が遺留品の中に含まれている可能性や、重要な金融資産、契約に関する書類などが発見されることもあります。
しかし、ここで重要なのは、遺留品の引き取りは法的に強制されるものではないということです。
警察からの依頼や相談という形を取ることがほとんどであり、遺族の意思や状況に応じて、引き取りを拒否したり、延期したりする選択肢も存在します。
遺族は、悲しみや混乱の中で、これらの対応を求められることになります。

遺留品の引き取り拒否

引き取りは義務ではない

警察から故人の遺留品の引き取りを求められたとしても、それは法的に定められた義務ではありません。
遺族には、故人との関係性、現在の自身の経済状況や生活環境、あるいは感情的な側面などを総合的に考慮し、遺留品を引き取るか否かを自由に判断する権利があります。
例えば、故人との関係が長年疎遠であった、遺産相続に関する負担やトラブルを避けたい、物理的に引き取りに行くことが困難である、あるいは単に感情的に故人の品々に触れたくないといった様々な理由から、引き取りを辞退する選択肢は常に存在します。
引き取りを拒否する場合でも、その旨を警察に明確に伝えることが肝要です。
引き取られない遺留品は、警察によって一定期間保管された後、適切な手続きを経て処分されることもあります。

相続放棄との関係

遺留品の引き取りを拒否する行為と、法的な「相続放棄」は、直接的に同じ意味ではありません。
相続放棄とは、民法に基づき、家庭裁判所に対して相続人であることを放棄する旨を申し出る正式な手続きを指します。
これにより、相続人は故人の財産(プラスの財産もマイナスの財産も全て)を相続する権利も義務も一切失うことになります。
遺留品の引き取りを拒否したという事実だけでは、法的に相続放棄が成立したことにはなりません。
しかし、遺留品の中に価値のある品物や金銭が含まれており、それを引き取って自分のものとした場合、「限定承認」や「単純承認」といった相続の意思表示をしたとみなされるリスクが存在します。
したがって、もし相続放棄を検討しているのであれば、警察から遺留品の引き取りを求められた際に、「現在、家庭裁判所で相続放棄の手続きを進めており、正式に受理される予定であるため、遺留品は受け取ることができません」といった形で、その意思を明確に伝えることが極めて重要です。
これにより、意図せず相続を承認してしまう事態を防ぐことができます。

家族が遺留品を引き取る時の注意点

相続放棄の有無

遺留品を引き取るという行為は、相続に関する法的な立場に影響を与える可能性があります。
そのため、遺留品を受け取る可能性がある状況になった場合、まず最優先で確認すべきは、ご自身が「相続放棄」の手続きを進めている、あるいは既に完了しているかどうかという点です。
相続放棄が家庭裁判所で正式に受理されている場合、法的にはもはや相続人ではありません。
したがって、故人の遺留品を受け取る資格も、その義務もありません。
問題となるのは、相続放棄の手続きがまだ完了していない、いわゆる「手続き中」の段階で遺留品を受け取ってしまうケースです。
この場合、遺留品を引き取った行為が「相続する意思がある」とみなされ、後から相続放棄ができなくなる、あるいは限定承認という形にならざるを得なくなるリスクが否定できません。
相続放棄を強く希望されているのであれば、その手続きがいつ受理される見込みなのか、現在の進捗状況を正確に把握しておくことが極めて重要です。

所持品の中身確認

遺留品を引き取るという行為は、単に故人の品々を受け取るというだけでなく、その中身を非常に慎重かつ網羅的に確認する重要なプロセスを含みます。
警察が保管していた遺留品には、故人の身分証明書、現金、銀行の通帳、クレジットカード、さらには生命保険証券、不動産の権利書、遺言書、借用書といった、相続財産に直結する重要な書類が含まれている可能性が非常に高いです。
また、故人が生前に交わした契約書類や、個人のプライバシーに関わる手紙、日記なども発見されることがあります。
これらの物品は、相続財産の正確な把握、借金や隠し口座の有無の確認、あるいは故人の隠された一面を知る手がかりとなることもあります。
特に、スマートフォンやパソコンといったデジタル遺品には、多くの個人情報や財産情報が含まれているため、その取り扱いには細心の注意が必要です。
確認作業は、相続人同士で協力して行うのが望ましいですが、複雑な場合や、遺族間で意見が分かれるような場合には、弁護士などの専門家に立ち会いをお願いすることも有効な手段となります。

まとめ

故人が遺した遺留品への対応は、単に物理的な品々を引き取り、整理するという行為にとどまりません。
それは、故人の人生の痕跡に触れ、その意思を最大限に尊重し、さらに相続という複雑かつ重要な法的手続きと深く結びつくプロセスです。
警察から連絡を受けた際には、まず遺留品の引き取りが法的な義務ではないことを冷静に認識することが肝要です。
その上で、ご自身が相続放棄を選択するのか、それとも遺産を相続するのかという意思を明確にし、それに沿った適切な対応を判断する必要があります。
遺留品の中には、故人の温かい思い出を呼び覚ます日用品や趣味の品々だけでなく、財産や権利、あるいは負債に関する重要な書類や貴重品が含まれている可能性も少なくありません。
したがって、それらの品々を慎重に確認し、正確に整理することは、相続問題を円滑に進める上で不可欠です。
もし、手続きの進め方や法的な判断に迷いが生じた場合は、弁護士、司法書士、税理士といった専門家への相談を積極的に検討することをお勧めします。
場合によっては、遺品整理の専門業者に依頼することも、負担軽減の一助となるでしょう。
これらの対応を通じて、遺族は故人を偲びつつ、新たな一歩を踏み出すための準備を整えることができます。

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