遺品整理を進める中で、故人が残した大量の書類の扱いに悩む方は少なくありません。
日々の生活で溜まったもの、例えば郵便物、請求書、取扱説明書、ダイレクトメールといった日常的なものから、契約書、通帳のコピー、保険関係書類といった重要な記録まで、その量と内容から、どのように整理し、廃棄するのが適切なのか、判断に迷うこともあるでしょう。
故人の人生の軌跡が詰まった書類だからこそ、慎むべき情報と不要な情報を見極め、適切に処理することが求められます。
この記事では、遺品整理における書類の廃棄方法について、安全かつ確実に行うためのポイントを解説します。
遺品整理での書類廃棄方法
シュレッダーで安全に処理
ご自宅にシュレッダーがあれば、書類を安全に処分する最も手軽な方法の一つです。
特別な費用もかからず、ご自身のペースで、納得のいくまで処理を進められます。
特に、氏名、住所、電話番号、マイナンバー、口座情報、クレジットカード番号といった個人情報が記載された書類は、細断することで情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。
不正利用や詐欺、なりすましといった被害を防ぐためには、こうした情報が含まれる書類の確実な処理が不可欠です。
ただし、書類の量が多い場合、例えば数十年分の請求書や明細書、手紙などが積み重なっている場合、処理に膨大な時間と手間がかかることがデメリットとして挙げられます。
遺品整理のために新たにシュレッダーを購入するとなると、本体価格だけでなく、消耗品(替え刃やゴミ袋)のコストや、処理能力(一度に投入できる枚数、連続使用時間)といった点も考慮する必要があるでしょう。
専門業者へ依頼する
大量の書類を効率的かつ安全に処分したい場合、書類の専門業者へ依頼することも非常に有効な選択肢です。
多くの業者は、段ボール一箱単位で書類を回収し、溶解処理や高度な細断処理などで確実に処分してくれるサービスを提供しています。
段ボール一箱には数千枚の書類が収まることもあり、その量を考えると、個人で処理する労力は計り知れません。
業者によっては、2,000円程度から対応している場合もあり、クリアファイルやバインダーに入ったままの書類もそのまま処分できるため、事前の分別作業にかかる手間や時間を大幅に省くことができます。
中身を確認せずに溶解処理を行うため、プライバシー保護の観点からも安心できるでしょう。
業者選定の際は、料金体系、処理方法、実績などを事前に確認することが大切です。

機密書類の廃棄で注意点
溶解処理で確実廃棄
遺品整理で出てくる書類の中には、預金通帳のコピー、契約書、個人情報が記載されたハガキ、健康保険証のコピー、年金記録、株取引の記録、過去の会員情報、パスワードリストなど、機密性が非常に高いものが含まれていることがあります。
これらの書類を安全に廃棄するためには、溶解処理が最も確実な方法の一つです。
溶解処理は、紙を特殊な溶剤によって液体状にするため、元の書類の状態に戻すことが極めて困難になります。
紙の繊維そのものが分解され、インクも消えるため、内容の復元は原理的に不可能です。
専門業者に依頼することで、こうした機密書類を確実に、かつ安全に処分することが可能です。
情報漏洩を防ぐ体制
機密書類の廃棄を専門業者に依頼する際は、情報漏洩を防ぐための体制が整っているかを確認することが重要です。
信頼できる業者は、書類の取り扱いに関して、プライバシー保護を最優先した体制を構築しています。
例えば、書類を外部に持ち出さずに自社施設内で溶解処理を行ったり、処理完了後にマニフェスト(処理証明書)を発行したりするサービスを提供している場合があります。
また、作業員による内容の確認や、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるための厳格な管理体制(作業員の身元確認、入退室管理、監視カメラの設置など)についても、事前に確認しておくと安心です。
書類廃棄を遺品整理業者に任せる
書類以外の不用品もまとめて処分
遺品整理では、書類だけでなく、家具や家電、衣類、書籍、趣味の品など、様々な不用品が発生します。
書類の廃棄を専門業者に依頼するのも良いですが、遺品整理全体を専門業者に任せることで、書類とそれ以外の不用品をまとめて処分することができます。
これにより、複数の業者に依頼する手間が省け、作業を効率的に進めることが可能です。
連絡や日程調整の手間が一度で済み、精神的な負担も軽減されます。
遺品整理業者は、多種多様な不用品の回収・処分に対応できるノウハウ(法規制の知識、リサイクル・リユースのルート、適正処理方法など)を持っているため、安心して任せられるでしょう。
重要書類の捜索も依頼可能
遺品整理においては、単に不要な書類を廃棄するだけでなく、将来的に必要となる可能性のある重要書類を見つけ出すことも非常に重要な作業です。
相続手続き、税務申告、保険請求、年金受給、訴訟などに必要となる書類を見落とすわけにはいきません。
遺品整理業者の中には、数多くの書類の中から、権利書、契約書、保険証券、年金手帳、預貯金通帳、有価証券、借用書、パスポート、マイナンバーカード、医療記録といった重要書類を捜索するサービスを提供しているところもあります。
専門的な知識と経験を持つ業者に依頼することで、貴重な書類を見落とすリスクを減らし、安全に整理を進めることができます。
書類廃棄の判断基準
遺品整理での書類分別
遺品整理で出てきた書類の廃棄を判断する際は、まず「保管すべき書類」と「廃棄して良い書類」に分別することが基本となります。
保管すべき書類には、不動産登記簿謄本、権利書、固定資産税納税通知書、車検証、印鑑証明書、健康保険証、年金手帳、源泉徴収票、確定申告書類、生命保険契約書、医療保険契約書、借入金関連書類、遺言書、遺言執行者の選任通知書、戸籍謄本、住民票、パスポート、マイナンバーカード、保証人関連書類などが含まれます。
一方、DMや期限切れのパンフレット、使用済みのレシート(医療費控除などで必要な場合を除く)、古い電話帳、一時的なメモなどは、一般的に廃棄対象となります。
判断に迷う書類については、無理に処分せず、親族や弁護士、税理士、司法書士といった専門家、または遺品整理業者に相談しながら進めるのが賢明です。
廃棄物の適切な処理
分別した「廃棄して良い書類」についても、その性質や量によって適切な処理方法を選択することが大切です。
個人情報や機密情報が含まれる書類は、シュレッダーによる細断や、専門業者による溶解処理を行うのが望ましいでしょう。
廃棄する書類の量が少ない場合は、家庭用シュレッダーで十分ですが、処理能力には限界があり、量が多い場合や、より確実な処分を求める場合は、専門業者への依頼を検討します。
廃棄方法を選ぶ際には、情報漏洩のリスクを最小限に抑える「安全性」、作業にかかる「効率性」、そして費用に見合う「コスト」のバランスを考慮することが重要です。
まとめ
遺品整理で発生する大量の書類は、その性質と量に応じて適切に処理することが重要です。
個人情報や機密情報に関わる書類は、情報漏洩のリスクを避けるため、シュレッダー処理や専門業者による溶解処理などが有効な手段となります。
また、遺品整理業者に依頼すれば、書類の廃棄だけでなく、他の不用品処分や重要書類の捜索といった、一連の作業をまとめて依頼できるため、効率的かつ安全に進めることが可能です。
書類の量、機密性の度合い、予算、時間的余裕、ご自身の体力や精神状態など、様々な状況を考慮し、最適な方法を選びましょう。